回路設計とは
はじめに
簡単に言うと、回路設計は紙での設計を、回路シミュレーションやPCB設計パッケージなどのソフトウェアツールで処理可能な電子表示に変換することです。
基本原則
回路図とは基本的に、各部品とそれらの接続を示すリンクのリストです。これには、単純な抵抗から複雑な集積回路チップやFPGAに至る電子機構のコンポーネント、あるいはコネクタ、ダイヤル、スイッチなどの機械側のコンポーネントなども含まれます。
環境との電気的な接続など、回路設計では必要な要素をすべて含める必要があります。そのため、細部に目を向けることが非常に重要です。回路設計になんらかの不備があると後になって問題が発生する恐れがあり、想定どおりにいかなくなった時点でコストのかかる診断作業と修正措置が必要になります。
通常、回路設計の出力はネットリストという形式であり、シミュレーションプログラムやPCB設計パッケージなどの他のソフトウェアツールにインポートすることができます。
おすすめの方法
回路図を作成する際に以下の方法を実践すれば、時間を短縮して問題の発生を防止できます。
- 信号は必ず左から右、入力から出力へ、電力は上から下へと流れるようにします。こうすることで、信号が流れるラインと電力が流れるライン、そしてそれぞれの方向が、回路図を見ればすぐにわかるようになります。
- すべてのラベルで一貫した命名規則に従います。これによって、潜在する問題が検出されてハイライト表示されます。たとえば、電源ラインとしてラベルが付けられているのに、信号線として配置されている接続は目につきやすくなります。そのため、その後の設計や製造のプロセスでの問題解決の時間を削減できます。
- ラインとラインが接続しているかどうかを明確に示すために、ラインは可能な限り交差したり合流したりしないようにします。電源接続にユニバーサルシンボルを使用すると、ラインの数を減らして回路図を見やすくすることができます。ラインをどうしても交差させる必要がある場合は、その旨を明確に把握できるようにします。ラインを結合する場合は、最大で3本までに限定します。それを超える数のラインが1か所に集まると、交差しているラインと間違いやすくなります。
- 回路図が複数のページに及ぶ大きなものである場合は、複数のページに機能ブロックをランダムに配置するのではなく、コンポーネントを分けて各ページに完全なブロックを配置するようにします。また、ラインがページ間をまたぐ接続は、必ず識別できるようにします。
- 機能的な設計に含まれないコンポーネント(デカップリングコンデンサー、ラインフィルター、避雷関連)を忘れないようにします。機器の実際の稼動に必要な一連のコンポーネントは、基本的な機能に含まれません。こうしたコンポーネントを回路設計に含め忘れるとシミュレーションで正しい結果が得られず、PCBのレイアウト設計に不備が発生して厄介な事態になってしまいます。
- 回路図に不明瞭な点がある場合は、必ず説明のメモを残すようにしましょう。休憩から戻ってきて、回路について自分が下した決断の理由を思い出せなかったときに、そうしたメモが大いに役立ちます。
回路のシミュレーション
シミュレーションツールでは、回路図の取得、入力のシミュレーション、理論に基づく出力の監視を行えます。また、考えられるあらゆる入力条件下で回路設計をテストしたり、回路が想定どおりに動作するかどうかを検証したり、実装先の機器の全体的な要件を満たしているかを確認したりすることができます。
回路図に含まれる各コンポーネントと入力信号については、動作のパラメーターと性能の特徴を定義する必要があります。標準的なコンポーネントの詳細は、多くの場合にデータのライブラリで確認することができますが、特注のコンポーネントや珍しいコンポーネントについては、上記の情報を定義してまとめておくとよいでしょう。ここで忘れないでいただきたいのは、シミュレーションの結果が使用するデータに左右されることです。どんなに小さな誤りでも、誤解を招く結果や典型的ではない結果につながる可能性があり、実装された機器が稼動して初めて問題が明るみに出ることもあります。
留意すべき重要なポイントは、シミュレーションでわかるのが完璧な状況下での回路の機能だということです。そのためモデルに追加しない限り、インピーダンスによって失われる配線や放射ノイズの生成など、実際の影響が考慮されることはありません。また、放射ノイズや伝導ノイズを原因とする干渉、信号線間のクロストーク、その他の間接的な影響も考慮されません。
こうした要因に対する回路設計の感受性について調査し、その結果を配線の最小幅と最大長 、配線の分離に関する制約、シールディングとスクリーニングの要件として解釈されるPCB設計の制約として活用することをおすすめします。
PCB設計
提供されているさまざまなツールで、回路図をPCBのレイアウトに自動的に変換して部品の配置や配線を調整することで、性能を最大限に高めて所定の制約に対処することができます。ただし、基板の製造に移る前に、設計した回路図を必ず入念に確認する必要があります。ルールチェックを利用できるパッケージの大半ではエラーの検出が可能なものの、それは手動での見直しに取って代わるものではありません。
「デカップリングコンデンサーの配置がコンポーネントから離れすぎている」といった単純な問題は、自動チェックをすり抜ける可能性があるため用心が必要です。どんなに小さな誤りであれ、PCBが機能しなければ、待っているのは時間とお金の無駄遣いです。穴を開けてバイパス配線を行うことで小さな問題を解決するのは、一度限りの試作では問題ないかもしれませんが、大量生産では理想的とは言えません。
まとめ
回路設計とは何でしょうか。それは、設計を検証するために回路図をシミュレーションし、最低限の労力で最適なPCBレイアウトを設計するプロセスです。ただし、そのプロセスの各ステップでは入念なチェックを行って、後続のステップに影響を及ぼす誤りが発生しないようにする必要があります。シミュレーションツールやPCB設計パッケージは、回路図を利用し、設計者の作業の負担を軽減してくれます。とはいえ、完璧なツールは存在しません。結果はよく見直してから活用するようにしてください。
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