バックアップとストレージマネージャー
基板設計ツールのAltium Designerは、デザインデータの自動バックアップと、バックアップされたデータを管理・復元するためのストレージマネージャーを備えています。
不用意にファイルを保存せずに終了してしまった場合、共同作業で他の人に上書きされてしまった場合、設計変更により旧いデザインを利用したい場合、停電やフリーズによって強制終了した場合などには、この機能によってデータを復旧することができます。
そこで、このバックアップシステムの仕組みを紹介したいと思います。
2種類の自動保存機能
Altium Designerでは、2通りの方法で自動的にバックアップが行われ、そのデータが蓄積されます。
1. オートセーブ
これは、一定の時間間隔で定期的にバックアップを作成するものです。時間間隔の設定は、「プリファレンス」パネルの「Data Mnejiment」-「Backup」ページで行います。なお、このオートセーブはデフォルトでは無効になっており、チェックボタンで有効化する事により、時間間隔と世代数、および保存場所の設定が可能になります。
2. ローカルヒストリー
これは、ユーザがファイルを保存するたびに、保存前のファイルを別名で保存し、一定期間中、そのデータを保持します。このバックアップファイルは、プロジェクトが置かれている場所に「History」という名のフォルダが作成され、その中に保存されます。
設定は「プリファレンス」パネルの「Data Mnagement」-「Local History」ページで行います。
ここでは、バックアップされたデータの保存日数が設定できます。また、データの保存先を任意に指定し、複数のプロジェクトのバックアップファイルを1ヶ所にまとめて保存する事もできます。
バックアップファイルと利用方法
オートセーブによるバックアップデータは、指定されたフォルダに、ZIP形式に圧縮されて保存されます。このZIPファイルには、「PCB_Project.~(1).#(AutoSave 2021-05-30 17~41~06-800).PrjPcb.Zip」のように、連番と保存時刻を含んだ名前が付けられています。
このファイル名を頼りに復元したいファイルを選び、解凍して利用します。また、ローカルヒストリーの設定で、[Add autosaved document to History] オプションを有効にしておくと、次に紹介するストレージマネージャーで、このオートセーブされたデータを管理する事ができます。
ストレージマネージャー
ローカルヒストリーで保存された一連のバックアップデータは、ストレージマネージャーを介して利用できます。
ストレージマネージャーは、ワークスペース右下の [Panels] ボタンを押し [Storage Manager] を選ぶ事により表示されます。
この管理パネル下部には、保存・集積されたファイルの履歴が表示されています。以前のデータを利用する場合には、ファイルをセレクトした後、右クリックで現れるコマンドから [開く] を選びます。
また、各バージョンの内容の違いを知りたい場合は、Ctrlキーを使って2つのファイルをセレクトした状態で、右ボタンクリックから [コンペア] を実行します。
このストレージマネージャーは、Altium Designerに内蔵されたバージョンコントロール システムであるといえます。さらに、ストレージマネージャーはSubversion (SVN)、およびGitバージョンコントロールシステム(VCS)をサポートしおり、これらの併用によって、より高度なバージョンコントロールを実現できます。
なお、SVN/Git /の利用については「バージョンコントロールの使用」で詳しく解説されていますので併せてご覧ください。
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