PCB設計開発向けのプロジェクトテンプレートを使用する

Altium Designer
|  投稿日 June 29, 2018  |  更新日 January 4, 2021
PCB設計開発向けのプロジェクトテンプレートを使用する

 

生い茂った草木を切り払うために枝打ち斧を使ったことがある方なら、北アメリカの荒野を切り開いた遠い昔の開拓者たちの苦難がどれほどのものだったか想像がつくでしょう。その努力は、人間の精神の素晴らしい側面の表れでした。こうした先人の仲間に加わることはもはや不可能ですが、他のPCB設計者にとっての草分け的存在になる方法はあります。

プリント基板を設計する際に、作業を一からやり直さなくてはいけないことが多々あります。これから手掛けるモジュールや回路を以前に誰かが設計していたとしても、それらの図面を再利用できない場合、コンポーネントの選択、配線図の作成、基板のパラメーターの決定と設定、場合によってはスクリプトの記述とコードのデバッグで、基板レイアウトに時間を費やす必要があります。

これはリソースの浪費であり、回路基板、チーム、組織の生産性とコストの損失と同じです。基板設計CADのAltium Designer®を活用すると、チームをリードしながらこれらの損失を取り戻せます。ここでは、Altium DesignerのPCB設計開発向けのプロジェクトテンプレートを活用して、時間や資金といった貴重なリソースの浪費を最小限にする方法をご紹介します。

PCB設計向けのプロジェクトテンプレートにアクセスする

プロジェクトテンプレートを使用可能にするには、プロジェクトテンプレートを作成しアクセス可能にする必要があります。Altium Designerでは、プロジェクトテンプレートの作成は簡単で直接的です。テンプレートは元のコンポーネント、シート(サブ回路)、設計全体を対象に作成できます。プロジェクトテンプレートは設計ファイルと同様、どこにでも(例: ローカル、ネットワークサーバー)保存でき、直接アクセスできます(図1)。

直接アクセス

図1: プロジェクトテンプレートの直接アクセス
図1: プロジェクトテンプレートの直接アクセス

サーバーからのアクセス

設計ファイルを実質的にどこにでも保存できどこからでもアクセスできるという柔軟性は確かに便利ですが、PCB設計のプロジェクトテンプレートにアクセスする場合、計画されたサーバーを利用することをおすすめします。サーバーは通常、セキュリティプロトコルと管理用の制御機能を備えています。これらは、データと情報へのアクセスを制限するのに必要です。また、サーバーは既知のディレクトリおよびファイル形式構造を提供することで統一性と一貫性を確保できます。サーバーソフトウェアは通常、サーバーが保管しているデータと情報の構造を乱さないでアップグレードできます。図2に示すAltium Concord Proは、PCB設計開発向けのプロジェクトテンプレートのホスティングに理想的なサーバーです。

図2: [Panels] タブを使って、サーバーからプロジェクトテンプレートにアクセスする
図2: [Panels] タブを使って、サーバーからプロジェクトテンプレートにアクセスする

サーバーのプロジェクトテンプレートは、メインウィンドウの右下の [Panels] タブで [Explorer] をクリックするとアクセスできます(上図参照)。ここから、上部のパネルで目的のレビジョンの行を右クリックすると、[View]、[Download All Files]、[Download Design Snapshot] を実行できます。Altium Designerの大半の機能と同様に、機能の活用の観点から高い柔軟性を備えています。これはサーバー上にプロジェクトテンプレートを構築する際にもあてはまります。例えば、プロジェクトテンプレートを [Components] と [Design Content] (このフォルダには、[Managed Sheets] と [Template Designs] が含まれます)で整理しても効果的でしょう(図3)。

図3: プロジェクトテンプレートのディレクトリ構造
図3: プロジェクトテンプレートのディレクトリ構造

PCB設計向けのプロジェクトテンプレートで履歴を確認する

[Explorer] ウィンドウの上のパネルに表示されるプロジェクトテンプレートのレビジョンの一覧に加え、下のパネルの左下の赤線で囲まれたタブの行では、各プロジェクトテンプレートのコンポーネント、シート、設計の履歴を確認できます(図4)。

図4: プロジェクトテンプレートにアクセスする
図4: プロジェクトテンプレートにアクセスする

上のパネルの [Revision State] 列では、各プロジェクトテンプレートのアイテムのステータスも確認できます。

PCB設計開発向けのプロジェクトテンプレートを使用する

Altium Designerでは、最初に設計アイテムを作成してプロジェクトテンプレートとして保存し再利用できるようにチームで共有することも、前もって作成されたリリース済みテンプレートを利用することもできます。ここでは、後者について詳しく見ていきましょう。前のセクションでは、コンポーネント、シート(設計のサブセクション)、完全な設計テンプレートについて説明しましたが、テンプレートの [Revision State] が [Released](「a」と表示)に設定されていれば、そのアイテムはPCB設計開発のためにアクセスできます。これを行うには、プロジェクトテンプレートアイテムのレビジョンを直接編集するか、プロジェクトテンプレートアイテムをダウンロードします。

直接編集

1. Altium Designer

プロジェクトを作成する場合、またはプロジェクトを開く場合、利用可能な全てのプロジェクトテンプレート(リリース済み)には [New Project] ダイアログからアクセスできます。アイテムの編集を行わなかった場合、プロジェクトテンプレートアイテムを再利用できるようにアクセス後に単にリリースします。プロジェクトテンプレートアイテムを編集した場合、その変更を加えたレビジョンをリリースする必要があります。  

2. マネージドサーバー

マネージドサーバーにログインすると、必要なプロジェクトテンプレートアイテムを簡単に編集できます。編集を完了すると、ファイルの名前が変更されアイテムがリリースされると同時に、プロジェクトテンプレートのレビジョンが更新されます。マネージドサーバーのブラウザベースのインターフェース(設定されている場合)からもプロジェクトテンプレートアイテムにアクセスできます。

ダウンロードする

プロジェクトテンプレートファイルをダウンロードしてプロジェクトに追加することもできます。この場合、編集を行うと、変更したアイテムをアップロードしてリリースする必要があります。PCBレイアウトエディターでは、コンポーネントの更新と同じくらい簡単に回路図を作成できます。

PCB設計開発向けのプロジェクトテンプレートを使用すると、チームと組織にとって手痛い生産性の損失を回避できます。簡単に作成できるこのプロジェクトテンプレートは、さまざまな場所で利用でき、その利用を制限することもできます。この機能は、リアルタイムでレビジョンを利用できる機能とともに、Altium Designerの統合設計環境に組み込まれています。

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筆者について

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Altium Designerは、回路・基板設計から基板製造・実装までの一貫したソリューションを単一の環境で提供するPCB設計総合プラットフォームです。

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