反芻リジッドフレックス-パート1
設計する製品のサイズとコストを削減する必要に迫られる設計者がますます増える一方で、より高密度で簡単に組み立てられることが求められています。リジッドフレキシブル回路 (別々のリジッド部の間にフレキシブル部を組み込んだ回路) は、より一般的なソリューションになりつつあります。
リジッドフレキシブルについての解説: 第1部
設計する製品のサイズとコストを削減する必要に迫られる設計者がますます増える一方で、より高密度で簡単に組み立てられることが求められています。リジッドフレキシブル回路(別々のリジッド部の間にフレキシブル部を組み込んだ回路)は、より一般的なソリューションになりつつあります。このブログ記事は、リジッドフレキシブル技術を使用するための材料、製造、および設計方法について説明する短いシリーズの第1回です。
このブログのタイトルが示すように、私はこのところ、リジッドフレキシブル回路基板についてあれこれと考えを巡らせています。リジッドフレキシブルにはさまざまな利点があり、以前はこの技術を必ずしも検討する必要がなかった多くの設計者が、最近はとにかく検討だけはするようになっています。以前より多くの設計者が、ますます高密度の電子製品を開発する強いプレッシャーに直面しており、それとともに製造にかかるコストと時間を削減するプレッシャーも増えています。もちろん、このような状況は今に始まったことではありません。ただ、これらのプレッシャーに対応しなければならない技術者や設計者の守備範囲は拡大し続けています。
ですが、リジッドフレキシブルには、この技術への新規参入者にとって厄介な問題になり得る側面があります。したがって、最初にフレキシブル回路とリジッドフレキシブル基板が実際にどのように作られているかを理解することは賢明です。そこから、設計上の問題を検討して、解決することができます。ひとまず、それらの基板に使用される基本的な材料について考えてみましょう。
フレキシブル回路の材料
基層とカバーレイ フィルム
まず、標準的なリジッドPCBについて考察しましょう。基材は通常、ファイバーグラスとエポキシ樹脂です。これは実際には繊維です。「リジッド」という名前で呼んでいますが、単一積層の場合、適度な弾性を持っています。基板をより硬くするのは硬化エポキシです。絶えず動くことのない簡単なアセンブリには適していますが、多くの用途において柔軟性が十分ではありません。
ほとんどの用途では、通常のネットワークエポキシ樹脂よりも柔軟なプラスチックが必要です。最も一般的な選択肢はポリイミドです。ポリイミドは、非常に柔軟で丈夫である(手で裂くことも、見てわかるほど引き伸ばすこともできず、製品アセンブリの際の耐性が高い)上、耐熱性にもきわめて優れているからです。このため、複数サイクルのリフロー処理に対する耐性が高く、温度変動による膨張収縮がかなり安定しています。
ポリエステル (PET) も一般的に使用されるフレキシブル回路材料ですが、高温に弱く、ポリイミド (PI) フィルムほど寸法安定性がありません。過去に、フレキシブル部に (PETが積層加工の熱を処理できない) プリント導体を持つ非常に低コストの電子機器でPETが使用されていたのを見たことがあります。言うまでもなく、何も半田付けされておらず、むしろ、熱によらない加圧で接合されていました。この製品のディスプレイ (時計付きラジオ) は、フレキシブル回路接続の品質が低いため、あまりうまく機能しなかったと記憶しています。したがって、リジッドフレキシブルの場合は、必ずPIフィルムを使用することを前提とします(これ以外の材料も入手可能ですが、めったに使用されません)。
PIもPETフィルムも、薄いエポキシ、およびガラス繊維のコアと同様に、フレキシブル回路の一般的な基層を形成します。その後、回路には、さらにフィルム (通常はPI、またはPET、場合によっては柔軟なソルダーマスクインク) を使用してカバーレイを追加する必要があります。カバーレイは、リジッド基板のソルダーマスクと同じように、外表面の導体を絶縁し、腐食や損傷から保護します。PI、およびPETフィルムの厚さは⅓~3milで、通常は1milまたは2milです。ガラス繊維、およびエポキシ基層はこれよりかなり厚く、2~4milあります。
導体
前述の安物の電子機器は、プリント導体 (通常は、カーボンフィルム、または銀ベースのインク) を使用しているかもしれませんが、最も代表的な導体は銅箔です。用途に応じて、異なる形態の銅箔を検討する必要があります。ケーブルやコネクタを取り除いて製造の時間とコストを削減するためだけに回路のフレキシブル部を使用しているのであれば、リジッド基板用の通常の積層銅箔 (電着、またはED) で問題ありません。これは、平面インダクタのように、高電流伝搬導体を機能可能な最小幅に保つために銅箔の重量がより多く必要な場合も使用できます。
ただし、銅箔もまた、加工硬化や金属疲労が起こるため、評判はよくありません。最終的な製品で何度も折り曲げる場合やフレキシブル回路を動かす場合は、よりグレードの高いロールアニール (RA) 箔を検討する必要があります。アニール箔の処理を行う手順を追加すると、明らかにコストが大幅に増加します。しかし、アニール銅箔は、疲労割れが発生する前に伸びることができ、Z方向にたわむ弾性があります。これはまさに、常に曲げられたり巻かれたりするフレキシブル回路に必要な特性です。これは、ロールアニールの処理によって粒状構造が平面方向に伸長するためです。
図2: アニール処理を強調した図。正確な縮尺ではありません。高圧ローラー間を通過した銅箔は、
粒状構造が平面方向に伸長し、Z方向のたわみにおいて柔軟性と弾力性が大幅に高まります。
そのような使用例としては、ガントリーのCNCルーターヘッドへの接続や、ブルーレイ ドライブのレーザーピックアップ (以下を参照) などがあります。
図3: ブルーレイ機構でレーザー ピックアップを主基板アセンブリにつなぐために使用されたフレキシブル回路。
レーザーヘッドのPCBはフレキシブル部が直角に曲がっており、フレキシブル回路の接合部を強化するために接着剤ビーズが追加されています。
接着剤
従来、銅箔をPI (または、他の) フィルムに接着するには、接着剤が必要です。なぜなら、一般的なFR-4リジッド基板とは異なり、アニール銅箔には「歯」が少なく (表面粗度が小さく)、信頼性の高い結合を形成するのに熱および圧力だけでは不十分だからです。DuPontなどの製造業者は、一般的な½および1milの厚さのアクリル、またはエポキシベースの接着剤を使用し、フレキシブル回路のエッチング用に積層加工済みの片面および両面銅張りフィルムを提供しています。接着剤は、柔軟性を持たせるよう特別に開発されています。
銅メッキやPIフィルムへの直接蒸着などの新しい処理により、「接着層のない」積層はますます普及しています。これらのフィルムは、HDI回路のようにより細かいピッチと小さなビアが必要な場合に使用されます。
シリコン、ホットメルト接着剤、およびエポキシ樹脂は、フレキシブルからリジッドへの接合部やインターフェース (レイヤー構成のフレキシブル部がリジッド部から離れるところ) に保護ビーズを追加する場合にも使用されます。これらの接着剤は、リジッド部からフレキシブル部への接合部の支点を機械的に補強します。補強しないと、繰り返しの使用により急速に疲労し、ひび割れや裂けが生じます。上の図3に、この例を示しています。
図4: 典型的なシングル層のフレキシブル回路のスタックアップ。
まとめ
フレキシブル回路やリジッドフレキシブル回路で使用される材料について認識しておくことは重要です。用途に基づいた材料の選択を製造業者に任せるのが一般的な方法かもしれませんが、無知は最終製品の使用現場での故障から設計者を守ってくれません。このブログの入門的な概説よりもはるかに詳しい説明が記載された非常に優れたリソースに、”Printed Circuits Handbook, 6th Ed” (C. F. Coombs、2008年、McGraw Hill、pp 61.3 0~61.24) があります。
材料特性の知識は、製品の機構設計、評価、および試験にも役立ちます。例えば車載製品を扱う場合、熱、湿度、化学物質、衝撃および振動はすべて、製品の信頼性を判定し、許容される最小折り曲げ半径を決定するために、正確な材料特性を使ってモデル化する必要があります。皮肉なことに、設計者にフレキシブル基板、およびリジッドフレキシブル基板の選択を促す要求は、多くの場合、過酷な環境での使用に結びついています。例えば、低コストの家庭用個人向け電子機器は、たびたび振動、落下、汗、あるいはさらに酷い状況にさらされます。
第2部のブログでは、リジッドフレキシブル回路の製造手順を取り上げます。これは、設計上の考慮事項の理解を深める助けになります。具体的な考慮事項については、以降の記事で考察する予定です。
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