Altium Designerでアンプのシミュレーションを作成する方法
高速信号の配線長の一致は、すべて同期に関連する
テストと測定の段階は迅速に済ませたいものです。最終的に設計段階が完了すると、試作のテストを行えるようになります。これは同時に、システムに必要なコンポーネントを絞り込み、システムで計画している機能を評価することでもあります。回路のテストと測定は非常に重要ですが、これらは比較の基礎がなければ意味を成しません。
シミュレーションの役割
アンプでも他のどのような回路でも、シミュレーション ツールは基板をレイアウトする前に回路を検証する際に重要です。多くのコンポーネント製造業者は特定のアプリケーションに特化したIC、SoC、SoMを製造していますが、コンポーネントによっては要求に対処できない場合もあります。次のシステムで使用する革新的な機能を実現するためには、多くの場合に各種のICや別々のコンポーネントからカスタム回路を構築する必要があります。
このような場合は、設計を評価するためにシミュレーション ツールが有用です。シミュレーションの結果は、後で試作のテストを開始するときや、特化したコンポーネント用の評価基板を使用するときに、比較用の参照として使用されます。今日では新しいマイクロ波やミリ波のシステムが一般的になりつつあり、特に5Gやレーダー アプリケーションがあらゆる場所で使用されるようになっているため、RFアンプを中心に特化されたシステムの設計が必要になることが増えるでしょう。このようなシステムではシグナルインテグリティーが特に重要で、設計者は性能を評価するためにシミュレーションを行うことになります。
Altium Designer®には大規模なコンポーネントライブラリがあるほか、解析ツールも内蔵されているため、アンプの正確なシミュレーションを作成して多くの解析を実行できます。必要なシミュレーション ツールはAltium Designerの回路図エディタ―に内蔵されており、回路の設計時に簡単に利用できます。
Altium Designerでアンプのシミュレーションを作成する
新しいシミュレーションの作成は、アンプ回路や信号処理ブロックなど、どんな回路も回路図レベルで開始されます。最初の手順はAltium Designerで新しい回路図を作成し、必要なシミュレーション ソースを見つけることです。空白の回路図を作成してから、アンプとそれに関連する回路用のコンポーネントを見つける必要があります。[Components] パネルに移動してSimulation Sources.IntLibライブラリまで下にスクロールすると、回路で使用可能な各種の電圧/電流コントロール ソースが表示されます。
下にある回路図の例では、MCP6H01Tアンプでフィードバック ループを作成するために、いくつかの汎用品の抵抗が使用されています。このアンプや他のアンプは [Manufacturer Part Search] パネルにあります。回路に含める必要のあるパッシブ部品も、下図に示されているセラミック コンデンサーC1のように配置できます。この回路図では、全体が把握しやすくなるよういくつかのネットラベルと、測定のためシングルエンドの電圧プローブが追加されています。
カップリング コンデンサーを含む単純なアンプのシミュレーション回路
この回路図で一つ注意すべき点は、電圧ソースを使用するVCCポートを定義する必要があることです。これを行わないと、シミュレーションでピン5が未定義と解釈されます。ここでは、Simulation Sources.IntLibライブラリのVSRCモデルを使用しています。各種の特化したアンプICも含め、製造業者の部品検索で見つかるどのコンポーネントも使用することができます。
Altium Designerでアンプのシミュレーションを使用して行える作業
MixedSimモジュールやAltium Designerの他のツールは、回路とアンプの設計においてさまざまな解析を行うのに最適です。アンプの設計における重要な解析の例は次のとおりです。
- パラメーター スイープ。ソースのいくつかのパラメーターについてスイープを行い、回路がどのように応答するかを計算するための優れた方法です。たとえば、フィードバック ループに含まれるパッシブ部品や、他の下流コンポーネントの値を変えて計算を繰り返すことができます。
- 周波数変調された信号。Altium Designerのアンプのシミュレーション モデルを使用して、アンプの非線形性が周波数変調された信号の相互変調にどのような影響を及ぼすかを調べることができます。これは、Simulation Sources.IntLibライブラリの関連モデルを使用して、周波数変調されたソースに含めることができます。
- ポールゼロ解析と伝達関数の解析。これら2つの分析は相互に関連しており、アンプがパルスによって駆動される際に定常状態への移行を調べるために重要です。ポールゼロ解析は、アンプとフィードバック ループがどのように定常状態で安定するかを調べるための簡単な方法です。回路の中にフィルター用のカップリング コンデンサーを含める場合は、この解析が重要になります。
MixedSimプロファイル過渡解析でフーリエ解析を有効にすると、シミュレーターはシミュレーションに含まれる入力、および出力信号についてフーリエ数列を自動的に計算します。過渡解析の結果は時間領域に存在しますが、周波数領域の出力を調べることは、特に分離コンポーネントを使用するカスタムアンプを設計するときに役立ちます。アナログ信号チェーン内のアンプを飽和点、またはその近くで実行する場合、アンプの非線形動作により高調波が発生し、周波数帯出力の分離ピークとして出現します。下のグラフには、200kHzの正弦波を使用してアンプを深い飽和状態まで駆動したときの例が示されています (明瞭化のため拡大されています)。
アンプのシミュレーションにおける高調波の発生
Altium Designerの効果的な回路シミュレーション ツールは、PCBレイアウトを作成する前にアンプのシミュレーションなどのさまざまな解析を実行するのに理想的です。これにより、テスト結果を比較するための有用な参照が得られ、基板のシグナルインテグリティーに関する潜在的な問題を予測することができます。Altium Designerには、サプライチェーンを管理したり、製造業者向けの資料を準備したりするためのツールも全て含まれています。
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