高速PCB設計解析: シミュレーションとシグナルインテグリティ解析
夏の終わりが近づくと、私は家族を集め、魔法をかけられたようなワクワク感を求めてステートフェアに向かいます。フェアが開催される場所は、普段は人けがなく、荒れ果てた風景の中、小さなほこりのかたまりが風に吹き飛ばされていきます。ところがフェアが始まると、そこは活気に満ちあふれます。ゾウの耳がついたブース、動物や実演を見せる建物、大声で叫ぶ子供たちを乗せた娯楽用の乗り物などが並びます。それは、全ての部分が動く、ジャグリングのような曲芸的状況です。
高速信号に対応したPCBの組み立てには、設計、コンポーネント、高速信号を扱うジャグリングのような部分があります。これらの高速信号には、不要な伝送線路が回路基板に大混乱を引き起こす可能性があります。混乱の多くはPCBレイアウト自体で発生します。
レイアウトのどの部分がこのような混乱をもたらすかを把握しておくと、基板をレイアウトしながら問題を解決できます。適用したレイアウト手法がシグナルインテグリティにとって最適かどうかは、膨大な量の計算が必要な手間のかかる解析を行うか、シグナルインテグリティシミュレーションツールを使用することで明らかにできます。この記事をお読みいただいた後、ご自分の基板にとってどちらがより効果的かを判断してください。
不十分なシグナルインテグリティシミュレーションツール
シグナルインテグリティシミュレーションツールが不十分だと、魔法はカオスと化します。インピーダンス計算機能は誤った計算結果を返します。計算は、レイヤのスタックアップやPCBデザインルールで定義された材料の誘電率と矛盾します。シミュレータはモデリングのリターンパスを前提とするので、GNDプレーンに不連続な部分があると、計算から除外されます。3Dフィールドソルバーは、完全に誤った差動ペアのインピーダンスを算出して返します。
ツールは単純で、デザインルールを考慮したPCBレイアウトのお決まりのオプションに対応していません。このツールには、リジッドフレキシブルのルールとシミュレーションが含まれています。そのシミュレーション環境では、波形が生成されますが、わかりにくいものになっています。さらに詳しく調べるには、複雑なコマンドを手動で実行して、普通の状態の値を求める必要があります。これは、3Dフィールドソルバーでも同様です。電気的に長いトレースの解析で一般的な選択項目がユーザーインターフェースに含まれていないので、自信を持って高速シグナルインテグリティの回路基板をレイアウトすることができません。
インテリジェントなEDAツールによる知力の上手な活用
結果を解釈する時間の浪費
明らかなエラーを解析するためにシミュレーションツールの結果を調べると、何時間もかかります。メニューを使った移動は、慎重な操作が必要です。インピーダンス計算機能をあれこれ操作して、トレースのインピーダンスの計算に誤ったパラメーターが使用されたことを明らかにしようとして、無駄な時間がかかります。シミュレーションに使用されたパラメータが、PCBレイアウトのルールセットと一致しないことを発見しようとして、時間を取られます。誰がそんなことを予想したでしょうか?
面状材料の固有の電気容量と誘電率の正しいパラメータがないと、算出されたインピーダンスが高速信号の反射やリンギングを本当に抑えるかどうかを確信できません。
シミュレーションは、ドリルファイルの不足など、周囲のちょっとした異常により失敗します。シミュレーションのセットアップにさまざまなPCBエディタと設定が必要であることを考えると、ドリルファイルの不足によって生じる失敗は、セットアッププロセスに混乱をもたらします。エディタおよび設定メニューに与えられる、選択したパラメータを何度も尋ねることになります。
シグナルインテグリティの高速信号をシミュレーションするツールを分析していると、ヘルプページやアプリケーションノートの検索でより多くの時間を無駄に使います。最終的に、シミュレーションの結果を示す波形ができあがっても、不要なデータが表示されることが多々あります。手元に強力なツールがあっても、自分の回路基板について適切にガイドしてくれる使いやすいユーザインターフェースがなければイライラが募ります。最終的に整合性がどうなるかはわかりません。
整合性の問題を特定して解消する優れたツール
PCBデザインルールで設定されている材料パラメータを、ツールのインピーダンス計算機能で使用できたら、すばらしいと思いませんか? インピーダンスを計算するため、デザインルール全体にツールポート情報が格納されていれば、回路設計に基づいて正しいコンポーネントとレイアウトが実装されたプリント回路基板が、製造業者から戻ってくることを確信できます。
シミュレーションにPCBのデザインルールのパラメータを使用すると、信頼できる結果になります。波形を表示して、回路設計とPCBレイアウトの両方のシミュレーション結果を示すことで、技術者とレイアウト設計者がシグナルインテグリティの問題と解決に対応しながら設計を作り込んでいくことができます。これにより、解析を実行し、手作業で得たベストプラクティスを適用し、PCBの製造を待ってシグナルインテグリティを検証するという推測に基づく作業がなくなります。
Altium Designerに組み込まれた正確な波形解析
Altium Designer 18は、PCBレイヤ構成マネージャ内にインピーダンス計算式エディタ(Impedance Formula Editor)を備えています。レイヤ構成マネージャは、プルダウンメニューを使ってPCBレイアウト環境から簡単にアクセスできます。インピーダンス計算式エディタには、ストリップラインやマイクロストリップなど(エンベデッド、デュアル、差動型のネットを含む)、全てのトポロジの正しい配線インピーダンス計算式が含まれています。デフォルトの計算式には、各トポロジのエディタから簡単にアクセスできます。これにより、ツール内から各トポロジの計算式に直接アクセスし、簡単に変更できます。あるいは、クエリヘルパーのほうが使いやすければ、そこからアクセスして編集することもできます。
レイヤ構成マネージャから簡単にアクセスできるインピーダンス計算式エディタ
反射とリンギングのインピーダンスがPCBレイアウトで考慮されていれば、高速信号の動作を解析するようにシグナルインテグリティシミュレータを設定できます。シミュレータは、デジグネータが定義した信号刺激を受け取ります。PCB設計者は、オーバーシュートやアンダーシュートの値、フライトタイム、電源ネットの制限など、高速信号ネットのパラメータの特性も指定できます。
シミュレータはこれらの値を使用して、[Waveform Analysis] ウィンドウに結果を表示します。結果として得られる波形は、高速配線で生じるリンギング、反射、クロストーク、電圧降下などのシグナルインテグリティの問題を、PCBレイアウトの特性別に、あるいはディスクリートをフィルタリングして示します。PCB設計者は、シグナルインテグリティが最大になるようインピーダンスを調整して、設計からノイズがなくなるまで波形解析を続けることができます。
Altium Designer 18は、強力で使いやすい回路図およびPCBレイアウトツールです。作業しながら高速配線のインピーダンスを設定することができます。統合環境により、使い勝手が向上し、PCBを製造する前に、設計内のシグナルインテグリティについて設計者が必要とする結果を得ることができます。
最大のシグナルインテグリティを得るために、使い勝手のよいPCBレイアウト設計ツールを備えたEDAツールをお探しでしたら、アルティウムのエキスパートにお問い合わせください。