PCBレイアウトソフトウェア比較に最も重要な機能
掘り出し物を見つけようと思って、中古車販売店に行ったことがありますか? 整備工でもなければ、ほとんど不可能です。私の場合、値段を除いて、自分にはほとんど同じに見える2台の車から選ぶことになりました。安い方を選んで、近くの整備工場に持って行くと、ぽんこつを選んだことが分りました。PCB設計ソフトウェアを選ぶときにも、同じ気持ちになることがあります。無料のプログラムを使用して、または中級のプログラムを購入して、自分が必要とするものには、ほど遠いことが分ったときです。電子設計自動化(EDA)ツールを決める前に、基板の設計に必要な高度な機能をサポートするか、確認する必要があります。また、自分特有のニーズに合うようカスタマイズできる統合環境で、これらの全ての要素が利用できることも重要です。
探すべき機能
私は、値段だけで車を選びました。もう一方の車と見た目は同じなのに、数千ドル安かったのです。結局、値段相応だと分りましたが、このことは、ECADソフトウェアにも当てはまります。たぶん、PCBの設計に、より安い、できれば無料のソフトウェアを使用したいと考えるでしょう。オプション機能の足りない点が、安い類似ブランドの問題点です。PCB設計が複雑になるにつれて、これらの「オプション機能」が必要になってくるのです。設計プログラムを選ぶ際に探すべきものをいくつか示します。
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基板サイズ - これは当然ですが、挙げておきます。無料ツールの多くでは、基板スペースが厳しく制限されています。ソフトウェアが、回路に十分なスペースをサポートしているか確認してください。
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高度なビア設計 - 高密度相互接続(HDI)基板や高速基板などを設計している場合、これは非常に重要です。ブラインドビアやベリードビア、ビアインパッド(VIP)、マイクロビア、バックドリル加工などの使用が必要になります。これらの機能のサポートは、低価格帯のソフトウェアには含まれない場合があります。必要であれば、利用できることを確認してください。
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レイヤーの数 - これも説明は不要でしょう。無料ツールやほぼ無料のツールのほとんどで、使用できるレイヤーの数が制限されています。基板が多くのレイヤーを使いそうな場合、たぶんプロフェッショナルPCB設計ソフトウェアが必要になるでしょう。
統合ソフトウェアならば、機能が不足することはありません。
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3Dモデリング - 車の内部構造について、私があまり気にしなかったように、3Dモデリングについて、あまり考えておられないかもしれません。しかし、3Dモデリングが、非常に重要になる場合があります。組み込みシステム向けにPCBを設計している場合、特にそうです。基板が筺体内に収まるようにする必要があるからです。優れたソフトウェアでは、筺体のモデルをインポートし、回路のモデルを作成して、これらがフィットするか確認することができます。
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電源供給ネットワーク解析(PDNA) - かつてPDNAは、電源のエキスパートのためだけのものでしたが、自分でとにかく少しはやってみることが、ますます重要になります。PDNAの基礎をなす信号分析プログラムの使い方を学びたい者は、誰もいません。代わりにそれをしてくれるプログラムを見つける方が、ずっと簡単です。
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差動ペア配線 - しばしば私は、GPSなしに目的地まで車で行ってみようと決めます。それに関連して言うと、私はしばしば道に迷います。差動ペアを持つ基板を設計している場合、優れた設計ソフトウェアは、優れたGPSのようなものでしょう。長さを減らし、またシグナルインテグリティーを維持するように、差動トレースを配線する必要があります。安いプログラムでは、自分で配線できるかもしれませんが、最適な経路を見つけるのに必要なサポートを提供してくれません。
これは完全なリストではありませんが、優れたEDAツールで探すべき機能の概要が分るでしょう。
統合環境
状況ごとに車を変える人がいます。ものを運ぶには大型トラック、家族を森に連れて行くにはSUV、長い移動には燃費が良いセダンといった具合です。あいにく、私はそれほど金持ちではないし、車を置く場所もありません。1台の車で全てを済ます方が好きです。PCB設計ソフトウェアでも、これを求めるべきです。オールインワンソリューションです。これによって、悩みの種は大幅に減り、最終的には全てが噛み合うようになります。
出回っているさまざまな無料ツールの困った点は、それらの多くが、さまざまことをうまくやってしまうことです。高度な機能を備えているツールもありますが、習得するのが難しいので、それらを利用するのは困難です。使いやすいツールもありますが、一部の必要な機能がありません。更に、ほとんどの場合、シミュレーターやPDNAなどの周辺ツールがありません。設計ソフトウェアを習得するのが、既に苦痛なのですから、分析ツールを7つ勉強するのは避けたいところです。全てが含まれる、しっかりしたソフトウェアを買う方が、ずっと簡単です。ご希望の機能を確認し、それらが全て統合されているソフトウェアを見つけましょう。
統合アプローチのもう一方の側面は、全てが実際に機能すると確信できる点です。多くのソフトウェアでは、さまざまなサードパーティー製のツールを「プラグイン」できます。それが機能する場合もあれば、実際にプラグインを使って作業するよりも、相互接続を修正しようとする方に時間がかかる場合もあります。更に、外部ツールが期待どおりに機能せず、誤った設計変更を行ってしまう可能性もあります。1つの会社が自社のプログラムに全てを統合している場合、最初から機能することは確実です。全てのツールが、信頼できる1人の開発者によって作られている場合、ツールが提供する結果に自信を持てます。
時として、必要なものがないこともあります。カスタマイズすれば、自分で作ることができます。編集クレジット: LandFox / Shutterstock.com
カスタマイズ性
車マニアが好きなことを1つ挙げるとすれば、それはカスタマイズです。もっとカスタマイズに凝っていれば、私が買った例のおんぼろ車をチューンアップできたでしょう。PCB設計者も、カスタマイズが好きです。最高の設計ソフトウェアを買っても、自分に必要な非常に特殊な機能を備えていない可能性があります。その点では、入手できる最高のツールとは、自分で変更できるツールです。
Altium Designerのような設計ソフトウェアには、ソフトウェア開発キット(SDK)が付属しており、自身のツールを作成できます。そうすれば、何か革新的なものを思いつき、開発者が実装するのを待ちたくない場合、自分で実装できます。とは言うものの、Altium Designerには、必要なツールがほとんど全て備わっているはずです。上で説明した全ての機能に加え、他にも多くの機能が含まれます。もちろん、それらは全て、統合環境で利用できます。あの波形シミュレーターはどこに行ったのかと、さまざまなウィンドウをクリックする必要がなくなります。
PCB設計についてのご質問は、Altiumのエキスパートまでお問い合わせください。