PLCと組み込みシステムとの比較: ユニット単価が高くてもPLCを選択すべき場合

投稿日 August 23, 2017
更新日 January 1, 2021
PLCと組み込みシステムとの比較: ユニット単価が高くてもPLCを選択すべき場合

Cost reduction graph

 

 

評判の高い、豪華なレストランで夕食を取ったことがありますか? そのときは、かなりの金額を支払ったことでしょう。しかし、素晴らしい夕食を希望し、それを楽しめたなら、その金額は十分に価値のあるものだったはずです。これに対して、平均的な地元のレストランで、サンドイッチが予想額より20ドル高かったら、馬鹿げた話だと思うのが当然です。このような場合は、そのお金で料理教室に通い、自分で料理を作った方がずっとマシというものです。

私は電子機器設計者として、プログラマブル ロジックコントローラー(PLC)やローカライズされた組み込みシステムで同様の経験があります。PLCを、ローカライズされた組み込みシステムに置き換えることで、コストを大幅に削減できます。しかし、豪華な夕食が支払い金額に見合う価値があるように、より高価な選択肢であるPLCの方が適切な選択となる状況もあります。

PLCとその応用

プログラマブル ロジックコントローラーは産業用に特化したコンピューターです。入力信号(デジタルまたはアナログ)を監視し、論理演算を実行し、特定の出力信号を出力するようカスタムプログラムされています。PLCは堅牢であることが知られており、産業用の極端な環境や、障害がほとんど許されないようなアプリケーションで一般に使用されます。

PLCが一般的なのは、モジュール構造のためです。これによって、プラグアンドプレイの手法で簡単に組み入れできます。最も基本的な構造は、中央処理装置(CPU)、電源、入力/出力(I/O)モジュールで構成されます。PLCのプログラミングは、マイクロコントローラーのコーディングよりも簡単です。これは、製造業者から供給されるラダー図、機能ブロック図、およびソフトウェアについての構造化テキストを中心としてプログラミングが行われるためです。

PLCは産業用アプリケーションにおいて珍しいものではありません。生産ライン、交通信号、エスカレーター、HAVAシステムなどに一般的に使用されています。これらのPLCは基本的なデータ操作機能があり、ModbusDeviceNetなど各種の通信プロトコルを対応できます。これらの機能から、自動制御システムに好んで使用されています。

 

 

PLC being installed
PLCの設定はほとんどプラグアンププレイで行われます。

 

ローカライズされた組み込みシステムがPLCに置き換わることがある理由

 

一般に、組み込みシステムとは、ハードウェアとソフトウェアが連携動作し、アプリケーション固有の機能を提供するものと定義されます。電子機器設計者の視点からは、これはマイクロコントローラー(MCU)、メモリチップ、電源管理回路、通信モジュール、入力/出力機能で構成されます。

これはPLCと似ていますが、両者の間には明確な相違点があります。

構成: PCLはモジュール構造で、特定のモジュールに障害が発生した場合は簡単に交換できることはよく知られています。これに対して、組み込みシステムはほとんどの場合、コスト削減のために単一の基板として設計されます。

プログラミング: PLCのプログラミングは、理解しやすいラダー図が付属しているため、通常は少ない時間で完了します。これに対して組み込みシステムはCなど高レベルのプログラミング言語でコーディングされ、ファームウェアの作成にはより長い時間が必要です。

コスト: PLCは一般にコストが高く、評判の高い製造業者から供給されるものは特にその傾向があります。これに対して組み込みシステムは、ローカライズされる場合には、ユニットごとの製造コストは非常に安くなります。

ハードウェアの組み立ておよびプログラミング手法の相違にかかわらず、組み込みシステムはPLCの機能を簡単に複製できます。私がフリーランスで仕事をしていた頃、私は各種の業界のクライアントが産業用PLCから、ローカライズされた組み込みシステムに置き換えるのを手助けしました。この置き替えの理由はただ1つ、コストです。特定のアプリケーションでは、ローカライズされた組み込みシステムのコストは、ブランドPLCの約20%まで低下します。ビジネスでは、これによって同じ機能を実現しながら、健全な利益率を確保できるようになります。

 

“Technical Support” image
PLCと組み込みシステムのどちらを選択するかにかかわらず、技術サポートは極めて重要です

 

 

ユニット単価が高くなってもPLCを使用すべき場合

 

なぜ、すべての製品が組み込みシステムに切り替わらないのかと疑問に思うかもしれません。コストは常に考慮しますが、コストだけを理由に、ローカライズされた組み込みシステムを常に優先するのは間違いです。PLCの方が大幅にコストが増大する事実にもかかわらず、PLCを使用するのが最適な場合もあります。PLCのコストが十分に引き合う、いくつかの要素を以下に示します。

数量: 同じ構成で数百のPLCを必要とするプロジェクトに従事している場合を除き、商用の既製品PLCを購入するのが最もコスト効果が高くなる可能性があります。ローカライズされた組み込みシステムを開発し、その構成を製造するための時間により発生するコストは、ユニットのコスト削減を上回る可能性があります。

認定: 特定の産業用アプリケーションでは、電子制御システムが標準化組織により認定を受けるための要件があります。ブランドPLCは一般にCE、UL、その他の認定を受けています。自社の組み込みシステムが認定を受けるときのコストが、PLCのコストを上回る場合は、PLCを使用する方が適切です。

サポート: PLCには多くの場合、評価の高い企業からのサポートが付属します。ローカライズされた組み込みシステムの製造を契約先に外注する場合、十分な量の技術サポートを受けられることを確認します。そうでない場合、PLCを使用する方が安全です。

信頼性: 目的のアプリケーションにおいて、制御システムが過酷な電気的および物理的環境で動作するなら、それらの環境での動作が証明済みであるPLCを使用するのが、多くの場合に適切です。そのような環境に向けてローカライズされた組み込みシステムを開発する予定で、そのための予算を獲得済みでない限り、ラボで十分なテストが行われない可能性が高くなります。

最終的に、PLCとローカライズされた組み込みシステムのどちらを使用するべきかの選択は、財務的な考慮事項に留まらなくなります。実際のところ、この選択は状況によって異なります。組み込みシステムが望ましい状況では、CircuitStudioのようなプロフェッショナルな設計ソフトウェアの助力が必要です。また、堅牢なローカライズされた組み込みシステムを設計するため、アルティウムのブログにある多くのリソースを使用できます。

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